三陸未来価値創造に向けて

真の復興とは、元に戻ることではなく進化することだ。

我々は、三陸の新しい進化のために、三陸パートナーズという組合をつくった。そのミッションは、「三陸未来価値創造」である。
そして、三陸未来価値は、我々の水産業の生業である「食」から作り出す。新しいビジネスモデルから生み出される商品、そして我々の求める商環境を創出することで、大船渡のまちの活性化へと繋げていくものである。
  • 三陸未来価値創造とは
  • 三陸地域の水産加工業は従来、それぞれ単独でビジネスを行ってきたが、東日本大震災の被害から復興するためは、地域内の水産加工業者同士が連携し、知恵を出し合うことが重要であるという認識を共有し始めている。
    本事業は、三陸地域内の水産加工業者6社が協同で新しい付加価値性の高い加工食品を開発し、生産、加工から販売までのルート確保と商品のブランディングを行うビジネスモデルを構築し、地域に根ざした自らの商環境をつくり、大船渡を「食のまち」として活性化することを目的とする。

事業骨子

商品開発

■オールいわて [岩手県の海、里、山連携の新商品開発]

岩手県の海、山、里の食材を組み合わせた新商品開発岩手県の水産物と山、里の食材を組み合わせて、他県には無い風土色の強い商品をつくる。魚種は地元に大量に水揚げされる水産物を使用し、加工方法と販売方法の工夫で経済効果を高めていく。今回は、組合員の得意な魚種や設備を考慮し、「三陸スモーク」、「三陸炙り」、「三陸〆」という三陸の魚種の豊さを活用した商品にいわて里山のソースをつけ、新しい三陸の魚の味わい方を開発した。

■新しいビジネスモデルの構築

キッチンデリバリーとパーツセレクション


新しいビジネスモデルと新製品開発に関しては、組合員と企画担当のソウルオブ東北とシェフの3者で協議し、開発していく。今年度はキッチンデリバリー(※キッチンデリバリーとは、素材とソースなどを組み合わせたり、即時に調理ができる商品の仕組みを独自に総称し、時間と人件費を削減することに貢献するビジネスモデル)に特化し、家庭の電子レンジ対応の加圧パックと湯煎の魚料理を開発した。パーツセレクション(※レストランや中食企業などのニーズに対応した水産物のパーツの大きさ、厚さ、切り方細分化する仕組みを独自に総称したビジネスモデル)については、設備投資も必要なことから更に検討を重ね、次年度に実際の開発を行うこととする。
また、未利用資源のイサダの有効活用に関しては、以前開発した乾燥わかめに混ぜた乾物商品の開発を皮切りに、4月から始まるイサダ漁に向けて更なる取り組みをしていく。

新しい里海つくり

■新しいビジネスモデルの構築

組合メリットと大船渡の新しい水産の顔


次なる未来に向けて必要なのは、我々の水産物や商品を販売する場所であり、組合に働く者たちの集う場所である。これらを創出することで「組合メリット」が生まれ、組合の価値が高まることとなる。また、水産加工、販売という六次産業的プレゼンテーションにより、三陸パートナーズの商品ブランドディングが強化されることはもちろんのこと、売上促進、雇用の安定、そして大船渡の食のまちつくりへの貢献を果たすこととなる。今回の事業では、三陸パートナーズの地域に根ざした商環境つくりに必要な調査を行った。まず地域資源として、自然資源、社会資源、経済資源の三つの側面から分析し、地域性のある商環境をつくることへの足がかりとした。そして、ランドケープデザインの一連一連として、商環境事業のための事業計画の素案、商環境のイメージ、平面図、パースを制作した。商環境は、食と癒しと文化の三つのテーマを設けてデザインされている。そしてやがて我々が計画する「三陸 海の学校」につながる大船渡で実現可能な次世代継承プログラムのための検証と提案をした。これらの計画書により、より具体的な商環境つくりへのステップとなると思われる。